病気の説明
風邪症候群
咳、鼻水の状態、発熱の程度、胸部聴診上の所見をもとに検査、薬の処方を決定します。
診察時には、咳の様子(コンコン乾いた咳なのか、ゴホゴホ痰の絡む咳なのか。朝、昼、夜のいつ咳が多いのか、眠れているのか。)や鼻水の様子(透明な鼻水が多いのか、黄色い鼻水が多いのか)を伝えていただくと診察がスムーズになります。
必ずしも抗生剤を処方しないわけではありませんが、抗生剤が不要なことが多く、症状や熱の経過、診察所見や検査結果を確認して抗生剤処方が必要か判断をします。
インフルエンザ
咳や鼻水などの症状から高熱が出ることがほとんどです。症状の発現時期が明確ですが、発熱直後に検査をしても陰性になることが多いです。
抗インフルエンザ薬により早期に解熱することが期待できますが、気道症状の改善はそこまでは期待できません。
発熱が続いている間は特に、異常行動を起こす可能性がありますのでお子さんから目を離さないようにしてください。
登校、登園は発熱から数えて5日間かつ解熱した日から3日間経過したら可能です。許可書が必要な場合は解熱して丸一日以上経過したら来院してください。
ワクチン接種により発症率を下げることができます。完全にかかることを防げるわけではありませんが、かかった時のつらさ、家族内感染の可能性を考えると予防接種は意味があると考えます。
溶連菌感染症
強い咽頭痛を伴うことが多く、咳や鼻水はあまり強くないのが一般的な症状です。
目が赤くなったり唇が赤くなったり、体に発疹が出ることもあります。解熱して丸1日経過すれば登校や登園は可能です。登園許可書が必要な場合は解熱したら来院してください。
溶連菌感染後に血尿が出る場合がありますので、2、3週間後に尿検査に来院してください。
アデノウイルス
咳、鼻水などの症状に加え、高い熱が出ることが多いです。溶連菌のように目が赤くなったり唇が赤くなったり、体に発疹が出ることもあります。人によっては5日間ほど熱が続くことがあります。熱は自然に下がるのを待つしかありません。熱が下がってから2日以上経過すれば登校や登園が可能です。登園許可書が必要な場合はしっかり解熱しているのが確認できたら来院してください。
RSウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルス感染症
どちらも喘息のような症状を起こすウイルスです。年齢の小さい子や喘息を持っている子がかかると重症化しやすく、時には入院が必要となることが多いです。
吸入や頻回の経過確認が必要となることも多いです。見た目に元気になってきていても、聴診するとゼーゼーが残っていて、運動するととたんに咳き込んで苦しくなることもありますので、登園のタイミングについては受診して相談が必要と考えます。
急性胃腸炎(感染性胃腸炎)
嘔吐を伴うものでも、経験上半日〜1日程度嘔気嘔吐があった後は徐々に飲めるケースが多いです。(そうでないケースは少ないですが、その場合は点滴や入院が必要になることが多いです)
嘔吐がある程度落ち着いたら少量ずつの水分から試して徐々に量を増やします。食事はおかゆなど消化にいい炭水化物から始めるといいでしょう。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、本人は元気でも、頻回に排便があると他の子にうつしてしまう可能性が高くなります。ノロウイルスに限らず、胃腸炎後に保育園などに預けるマナーとしては、下痢が落ち着き1日1-2回程度の排便になってからが好ましいと考えます。
ノロウイルスなどは通常のアルコール消毒では死にません。次亜塩素酸という別の消毒が必要になります。ただ、吐いたもの全てにその消毒を使用することは非現実的な面もありますので、吐物や下痢の処理をした後は必ず流水、石けんで手洗いをしてください。
ロタウイルス感染症は、予防接種により、発症を6-7割防ぎ、入院の可能性を10分の1まで下げることができると言われています。乳児がかかると入院するケースもありますので、その際の本人のつらさ、家族の負担を考えると予防接種をお勧めします。
水ぼうそう
水ぼうそうにかかっている人と接してから2〜3週間後に発症します。空気感染といってマスクをしていても感染します。全身に水疱ができ、熱が出ることも多いです。
4〜7日ほどして、全ての水疱がかさぶたになったら登園や登校できます。
現在は1歳の間に無料で予防接種が受けられます。
おたふくかぜ
おたふくかぜにかかっている人と接してから2〜3週間後に発症します。数日間耳下腺というほほにある組織が腫れ、熱が出ることも多いです。
頻度は低いですが、片側もしくは両側の難聴(ほとんど聴こえなくなることが多いようです)になる可能性があります。
また、男子が大きくなってからかかると精巣炎を起こし、男性不妊の原因になる可能性があります。
自費ですが予防接種ができます。予防接種でもワクチンによる髄膜炎を起こす可能性はありますが、自然にかかって髄膜炎を起こす頻度の20分の1以下とされていて(過去の検討によると0.05%対1.24%)、自然にかかったときの難聴や精巣炎などの後遺症のリスクを考えるとワクチンを打つメリットは高いと考えます。